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古代メキシコ展

東京国立博物館で「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」展を見てきました。

自分の常識は誰かの非常識。足元をすくわれる感覚にたびたび見舞われる、楽しい展示会です。

ある展示品の解説に「古代遺跡で発見された碑文の一部」とあったのですが、品物はどう見ても具象的な石の彫刻。この石片に「彫られているはずのテキスト」を見つけられず、あきらめて足を進めました。そうこうするうちに、この文明で記録に使われた「文」がどういうものだったかをようやく理解。

このレリーフの中央、天然ゴムを固めた丸い球技用ボールの上にあるのも「文字」です。

スペインに滅ぼされた、とよく表現される文明社会。

生粋のヨーロッパ文明の人間がこの社会に接したとき、驚きが恐怖に変わるのに時間はかからなかっただろうと想像します。

「解らない」ものに対する恐れに対処する方法はいろいろあるものの、命をかけてたどり着いた場所で情報もなく同胞は少数…となれば、とれる行動に選択肢があまりないことも容易にイメージできます。

モノとして興味深いものもたくさんありました。

このエリアでは翡翠が多用されていて、他の石の彫刻と同様に素晴らしい研磨技術で磨かれていました。

この首飾りは珍重された素材の双璧、翡翠とスポンディルス貝の組み合わせ。

人と動物と神はしばしば渾然一体となって、デフォルメされます。

コーパル(若い琥珀)を焚く香炉。いつまで眺めていても、飽きない。

ほら貝の彫刻柄も面白い。こういうパターン、古代アンデスにもあったような。

この文明が続かなかったことをとても勿体なく感じると同時に、人の行動範囲が広がるにつれ世界の「差異」は今この瞬間にも失われていることを改めて思い出しました。

「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」展は東京国立博物館平成館で9月3日まで。その後福岡、大阪へ巡回するようです。

詳しくはこちらの展示会公式サイトにて。

楽しい展示会、お勧めです。