fbpx

冬じたく

冬に向けた制作風景。

ひとつひとつ、素材の手配からデザイン・製作を手掛けるため、例年この時季から作りためます。

美しい夜光貝をベースに、白蝶貝の螺鈿をアクセントにして帯留めになる予定のピース。

二種類の貝の調和がきれいなので、一瞬手を止めて撮りました。

真珠や貝はいつも、目に映るほどきれいに撮れないのが悔しくもあり、仕上がった後でお客様に「写真より実物のほうがずっといいわね」と言われると嬉しくもあり。

ところで写真の白いパウダー状のものは、純銀粉です。

粒子の細かさと形状の異なる40種類あまりのなかから、目指す表現に合うものを選んで使います。

描いた漆が固まる前に金属粉を蒔き、定着した金属粉を再度漆で固め、磨く。

基本的な蒔絵の流れの、最初のほうの工程です。

カザールコレクションのこと

先日サントリー美術館で楽しんだカザールコレクションについて。

ウーゴ・アルフォンソ・カザールは1912年に商社員として大阪に赴任し、そのまま二度の大戦を経て日本で没したイタリア系スイス人。

日本ではほとんどを神戸で暮らし、蒔絵作品を主とする工芸品を収集しながら日本の漆芸品を研究し、その分野では欧米向けの出版物もあるそうです。

江戸から明治の蒔絵の優品がこぞって海外へ流出してしまった中、カザールコレクションが珍しく国内で所蔵されている経緯にはドラマがあります。

日本の第二次世界大戦参戦が確実になった頃。

収集品を米国へ逃がすため神戸港で船積み準備を終えた途端に日米開戦してしまい出国叶わず、収集品はそのまま親交のあった大阪市立美術館に保管されて終戦を迎え、カザール没後に正式に譲渡されたそう。

大阪市立美術館が所蔵する4000点余のカザール・コレクションのうち半数は蒔絵を多く含む装身具が占めるそうです。

トップ写真は80年代に出版されたカザールコレクションの図録で、櫛かんざしに加え印籠や根付や煙草入も「装身具」としてまとめられています。

途方もないコストをかけて各々の趣味に合わせて作られた品々が、市中で身につけられている豊かな社会を想像して、眺めていると幸せになります。

美をつくし展

サントリー美術館で開催中の「美をつくし」展へ。

大阪市立美術館の所蔵品展、この日はカザール・コレクションを目当てに出かけました。

カザール・コレクションについては長くなるのでまたあらためて。

トップの写真は80年代に出版されたカザール・コレクションの図録を引っ張り出してきて撮ったものです。(今回の展示品図録ではありません)

この日の私的ベストは『茸蝦蟇形彫根付』。きのこに乗っかったガマガエル。

マスクの下でニマニマ笑いが止まらなくなるくらい、剽軽で好き。

笑いが止まらないといえば展示のラストも受けました。”笑かしてなんぼ”の文化圏、さすが。

アングル変えても可愛いわ。

どれか1つあげると言われたら迷いますが、3つなら必ずこれ入れます!

カザール・コレクション以外では、『百鬼夜行絵巻』が面白かったです。

見たこともない姿かたちを描くのに、この確信的で流麗な筆致はなに?

あぁ全部見たいな、と5往復くらいして眺めました。

大阪市立美術館はこの秋から改修工事、2025年にリニューアルオープンするそうです。

オープン企画で『百鬼』全部見せます!とかないかなあ。立派なメインホールのスペース使って。

実物の筆遣いを見たいのです。

淡く期待しながら楽しみにします。

李禹煥展

空に秋の気配あり。

国立新美術館の 李禹煥展を見てきました。

昔むかしインテリアデザインの雑誌で見かけた、どなたかのリビングルーム。

壁にかかった作品が気になってずうっと記憶にあり、しばらく後にそれがLee U Fanの作品だと知ります。

今回は御本人の監修の展覧会で、70年代の立体作品から新しいものまでひととおり見ることができました。

全部見て心に残ったのは、消えぎわの美しさです。

顔料と膠を混ぜて、筆の顔料がつきるままに記された点や線の、顔料の尽きて膠だけになった半びかりの跡とか、色のグラデーションが白へ収束していく少し手前の、なぜか白より眩しく見える部分とか。

一番気に入ったのが1970年に発表された「関係項<於いてある場所>Ⅰ」の鉄板5枚組の作品です。

厚さ5ミリほどの大きな鉄板は、立ててあると刃のように威圧的で暴力的に見えますが、角度をかえて床に寝かせると静かで空間に消えてゆくように見えます。

同じものが、置く角度が変わるだけで全く別の性格に見える不思議。

屋外に置かれた「エスカルゴ」の中。

展示室で心に残ったのと同じ、消えぎわの面白い風景が撮れました。

心地よい場所

胡蝶のピアスを心地よさそうな場所で撮影したいと思い、いろいろ試してみて落ち着いたのがここ。

英国王室が所蔵する扇の本のなかの、日本の皇室から贈られた扇の頁です。

ジョージ6世の戴冠式に出席するため渡英した秩父宮妃から、メアリー女王もしくはエリザベス王女へ贈られたものだそう。

アイボリーに金蒔絵の菊がたっぷり描かれた扇が納まる、箱は黒漆塗にやはり菊。菊は秩父宮妃ゆかりの花だったのですね。(扇はこちらのロイヤルコレクショントラストのサイトでどうぞ)

胡蝶のピアスは夜光貝に純金の蒔絵。普段に気軽に着けられて、いざとなると素材が底力を見せてくれます。

英国といえば、こちら近所のスーパーマーケットで入手したブラムリー。撮ってみるとボテロ風味に。

袋買いして、朝が楽しみになるコンフィチュール、汎用性のある英国風のマイルドなチャツネ、残りは焼き菓子のアクセントに。すっかり秋の気分です。

美味しいものが増える季節。皆さまよい週末をお過ごしください。

★中秋の名月の日限定 クーポンのお知らせ★

月明かりのような夜光貝のジュエリーなどオンラインショップの全品にお使いいただけます。

気になっていたお品物がありましたらぜひ、この機会をご利用ください。

<クーポンのご利用方法>

・2022年9月10日8時より同日23時59分まで有効です。

・商品購入画面でクーポンコード≪ATENARI910≫を入力いただくと10%オフが適用されます。

・ご利用はおひとり様1回限り有効で、ほかのクーポンとの併用はできません。

アテナリのオンラインショップはこちらをご覧ください。