子供時代に描く蝶のような、目まぐるしい蝶の軌跡のような。
純金と漆を使って伝統的な蒔絵技法で描かれた、きらきらしたラインがシンプルシックなPAPILLONのピアスです。
パールは真っ白な白蝶真珠。デイリーに使いやすく、ほど良く存在感もある11ミリ強サイズで作りました。
「シンプルで、他にないもの」という難しいテーマで解を求めている方に、お勧めです。
★5月16日(木)~18日(土) 神戸国際宝飾展IJK2024 / exhibition for buyers <B6-50>★
シンプリシティ
製作中から仕上がりが楽しみだったピアス。ようやく完成です。
ふつうは縦に使うであろうパールを横向きにデザインしてみたら、とてもチャーミングになりました。耳たぶのすぐ下でコンパクトにおさまるのに、存在感のあるジュエリーです。
てりのよい、どこから見ても美しい淡水真珠のケシを使っています。
ユニークな形であればあるほどペア組みは大変なので、既に仲良くふたつ一組になったこういうのは、迷いなくいただくことにしています。
蒔絵部分は純金と純銀と漆、アクセントに小さなダイヤモンド。シンプルです。
シンプルな素材から無限の表現ができるのは、平安期以降1000年以上、日本のたくさんのアルチザンが自分のものにしてきた技術によるもの。そして何より、彼らと同じ時代を生きた愛好家の存在とアルチザン自身のメタモルフォーゼなくして技術の継承はありません。
条件整って、このユニークな技法が現代の日本に生きていることが、素晴らしい。だから素直に楽しみます。
さて今日の東京はからりと良いお天気。
皆さま素敵な週末をお過ごしください。
★5月16日(木)~18日(土) 神戸国際宝飾展IJK2024 / exhibition for buyers <B6-50>★
西の端へ エディンバラ編
エディンバラは着いた瞬間から大好きになった街。
旧い建造物が高低差のある土地に建ち、チャーミングな細い路地がたくさんあり、いくらでも散歩が楽しめる仕組み。街中のどこからもみえるエディンバラ城へも、行き方が無数にあるようです。
突然の日差しに突然の雨風。天気予報は毎日同じで「曇り時々晴れ、ところによりにわか雨」。
現地の人は雨の中、傘もささず「なんという天気だ!」とにこにこしています。撥水性のコートはこの気候が生んだマストハブアイテムだと納得。
エディンバラ城で面白かったのが国立戦争博物館。なんとなく足が向かずパスして帰ろうかと思った矢先に降り出した雨を、やりすごすために立ち寄りましたが、意外にも楽しめました。
コスチュームや装備品が興味深いものばかりで飽きません。世界のミリタリー関連だけで服飾博物館を作ったら絶対面白いな、と思いました。もうどこかにあるのかしら。
たとえば勇猛さで鳴らしたというスコットランド北部ハイランダーの、独特なコスチューム、というか装身具。
バレエ観る方ならシルフィードのジェームズでお馴染みの、あれです。舞台用のコスチュームとして目立つように作っているのかと思っていましたが、サイズ感はこの通り。どう見ても邪魔っぽいです。
これはクリミア戦争を題材にした、フランス人による版画。ハイランダーズは主要な戦場には赴かなかったらしいのですが、独特の装いがイギリスの参戦を頼もしく象徴する図、ということでした。
しかし、やっぱり邪魔っぽいです。
スコットランド国立博物館も面白く、空間が広々として、ベビーカーを押してやってくる家族連れもたくさん。
めちゃくちゃ格好良い鎖のチョーカーはヴァイキング時代のもの。
類似のものが無数にありました。
何キロにもなる無垢の銀地金は、ローマ時代の銀をリサイクルして作られたものだそう。
そのローマ時代にもすでに、大量の銀貨をつくるため銀のリサイクルが大規模に行われていたようです。
さてここは、イラン出身の兄妹が営むパティスリー。気に入って、滞在中は毎日通いました。
故郷に長く伝わるというお菓子は儚くて美味、”洗練された”という形容しか見つかりません。薔薇の花がたっぷり入って香りの良い紅茶と、やはり名産のサフランが香るシュガースティック。店主は多く語りませんが、もてなされたという温かい気持ちになります。
宝物のような、また必ず行きたい場所です。
自然素材を愉しむ
銀座もとじさんのオンラインショップで販売スタートしました。
写真は、芭蕉の蒔絵かんざしとオーシャンジャスパーの帯留を組み合わせてみたコーディネート。
天然石をシンプルに、ミルグレインのような縁飾りの銀の枠におさめた帯留。
鉱物の構造は3次元なので、0.1ミリ削ると模様ががらっと変わります。
美しい模様が出るように磨き上げた研磨職人さんに、拍手をおくりたくなるアートピースです。
エクリュ~ブラウンの色系統にモスグリーンが少し混じり、カラーバランスの塩梅も素晴らしい。
かんざしはベージュ系の生地に銀蒔絵と螺鈿で芭蕉を描きました。
根本の美しいグラデーションは挿すと隠れますが、そこはオーナーの方だけの楽しみですね。
銀座もとじさんのオンラインショップではこの他いろいろとご紹介頂いています。どうぞご覧ください。
ーーー銀座もとじ 夏を彩るコモノ展ーーー
5月15日~6月30日 於:銀座もとじ オンラインショップ含む全店舗
★6月1日(土)・2日(日)はアテナリのデザイナーがアテンドし、かんざしのオーダーも承ります。
夏雪輪のかんざし
日本の夏、目から涼をとる雪輪柄のかんざし。
銀座もとじさんの夏のコモノ展に向け、貝螺鈿の技法でいくつか製作しました。
ベージュ生地に銀と螺鈿を組み合わせたものは涼やかな質感で、自然布やかごバッグなどとの相性も良さそうです。
黒生地のものは貝の輝きをストレートに味わえます。
磨き上げた瞬間に夏を感じたのは、夜空を彩る花火を思わせるからかもしれません。
螺鈿に使う貝は幾種類もありますが、今回はあわび貝で。
貝の色は構造色なので光の加減で見え方がさまざまに変化するのが楽しいです。
グリーンに見えている部分が角度を変えるとピンクに反転したり、その逆も。
ぜひお手元でご覧ください。
貝は作っていても身につけていても、飽きることがない素材のひとつです。
研いで紙のように薄くしたあわび貝を、デザインに合わせて細かく切ったり打ち抜いたり。他にない魅力があるので、手間をかける価値のある素材です。
ーーー銀座もとじ 夏を彩るコモノ展ーーー
5月15日~6月30日 於:銀座もとじ オンラインショップ含む全店舗
★6月1日(土)・2日(日)はアテナリのデザイナーがアテンド、かんざしのオーダーも承ります。