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デザイナーのプロフィール

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デザイナー 角元弥子(KAKUMOTO YASUKO)

神戸大学教育学部美術科(現・発達科学部人間表現学科)卒
IT企業にてプログラムを可視化して人とつなぐ業務に携わる

旅先のイタリアで紀元前の金細工品を見て衝撃をうける
その技術・素材・美がもつ永遠性に惹かれ、退職して東京にてジュエリーの製作デザインを学ぶ

東京のジュエリー製造小売企業にて商品企画・ブランド開発業務に携わる

出張先のパリで見た江戸時代の櫛・かんざしの蒔絵の表現力に興味を持つ
東京にて複数の作家に師事し蒔絵技法を習得

2007年に独立し、アテナリをスタート

私が蒔絵を学ぶきっかけになったのは2004年、パリ装飾美術館での出来事でした。
世界の装身具を集めた展示室で、日本の装身具として紹介されていた江戸時代の蒔絵の櫛・かんざしを見たときの衝撃は忘れられません。
まばゆい宝飾品の中でも、凛とした独自のオーラを放っていました。

帰国後に蒔絵技法を学ぶ中で、テクニックだけでない多くの気づきがありました。
自然に向けられた親しみのある眼差し、シンプルでサステイナブルな素材、時間と手間をかけられたものの贅沢さなど。
知るほどにますます、このまま伝統工芸技術として保存されるだけでは惜しすぎる、と思います。

現代の暮らしに息づく美として蒔絵の魅力を、アテナリのジュエリーを通して伝えていきたいと考えています。

角元弥子

あてなるもの

plum.jpg「ATENARI」の意味をよく聞かれます。
平安時代には使われていた古語で、「貴なり」と書きます。
現代ではその字面から、何となく遠い世界のノーブルな雰囲気が漂いませんか?
ですがこの言葉の元々のニュアンスは少し軽やかでしなやかなもの。
分かりやすい例として、『枕草子』があります。
あてなるもの
薄色に白襲の汗衫。
かりのこ。
削り氷にあまづら入れて 新しき金まりに入れたる。
水晶の数珠。
藤の花。
梅の花に雪の降りかかりたる。
いみじううつくしきちごの、いちごなど食ひたる。

とこんな感じで、「あてなり」は、ふと目が留まったときに感性に触れる、ちょっとワクワクするような様子をいいます。
写真は、雪の少ない2009年の東京で「梅の花に春雨の降りかかりたる」。
雨のしずくが水晶玉のように梅の花に散りばめられた、2月のあてなる風景でした。