ロイヤル・オペラ・ハウスのシネマで「カルメン」を観てきました。
タイトルロールのアイグル・アフメシナはロシア連邦バシュコルトスタン共和国出身の28歳。”天に与えられた”と自身が言い、周りの人が才能を放っておけなかった声の持ち主です。
踊りや歌は身体ひとつで磨く芸術、時々「この人と同じ時代を生きていて良かった」とおもうアーティストに出会いますが、アイグルもその一人。
舞台ではカルメンを生きている、という言葉のとおり、他のキャストとのからみや細かな仕草まで自然に見せ、声だけでない才能を感じます。
実はこの「カルメン」、ゲネリハを4月のロンドンで見ています。
写真はその時のもの。上階で立ち見という条件でしたが、アイグルがぐいぐい引っ張るステージは演出も面白く、立ちっぱなしの疲れもなく最後まで見入ってしまいました。
今回は2度目ということもあって、演出の細かいところやゲネリハ当時からの修正部分を楽しく観察できました。そしてキャストの表情がよく見えるのがシネマならでは。ミカエラの最後の笑みは、文脈を書き換えてしまうほどの意味があり、こういうのが演出ごとに何度でも観てしまうメロドラマ・オペラの魅力でもあります。
オペラ「カルメン」初演から150年になる来年には早速再演があるようで、チケット争奪戦は加熱必至。
そちらも気になりますが、アイグルをカルメン以外でも観てみたい。ロッシーニ?サン・サーンス?何でしょう、何でも。
この日は週末でしたが日本橋の映画館、空いていました。帰りに空に向かって「皆さんこれは観ておくといいですよー」と余計なお世話を叫びたくなりました。