お髭と着古したセーターの組み合わせ、大好き。
ようやく行けた、ブランクーシ展。ジャコメッティと並んで好きな彫刻家です。
この日、いいなと思ったものはなぜか鳥たちでした。
「小鳥Ⅰ」
大好きなこのシリーズ、今回はブランクーシ自身が撮った写真だけでした。
この単純な造形に対し、自分が小鳥の愛らしさを感じる仕組みはまったくの謎です。
「鳥」
ブランクーシ・エステート所蔵のタブロー。
白い部分の質感や白と青の境界が、どう処理されたものが分からずしばらく眺めていましたが、説明をよく見ると油彩でなくフレスコでした。
この鳥がどちらへ向かって飛んでいるか、人によって見方が違いそうなのが面白い。私には”飛んでゆく”鳥に見えますがあなたは如何?
「マイアストラ」
Maiastraはルーマニアではふたつの意味をもつそう。
ひとつは伝説上の、光をまとって魔術を使う鳥の女王。めったに聴けない、その鳴き声を聴いたひとは瞬時に若返るとか。(迷惑な魔法…)
もうひとつは特別なアート感覚を持つ芸の達人を指し、これは同じラテン語ルーツのイタリア語「マエストロ」にあたるのでしょう。
この作品のタイトルではもちろん、フォークロアの鳥を指しています。
ブランクーシが取り組んだ素材は多彩ですが、特に石から何かを彫り出す仕事には何か他にない特別なものを感じます。完成までに必要なフィジカルな労力と不可逆性、仕上がった作品の力強く静かで威圧しない存在感。
会場で上映されている映像では、自ら石に挑む姿が見られます。
トップの写真とこのアトリエの写真は、20歳のころから気になっていたのに一昨年やっと訪れることができた、 Atelier Brancusi で撮ったもの。
隣接するポンピドゥー・センターと同じくレンツォ・ピアノが再現したこのアトリエは天井がたかく自然光がたっぷり入り、気持ちがよくてずっと居たくなる空間でした。
プロの使う道具類の、ずらり並んだ景色は壮観です。