オリガ・スミルノワの一番最初の記憶はロシアのTV番組「Bolshoi Ballet」。
当時はワガノワを首席で卒業したらしい完璧な踊りと、審査員のコメントににこりともしない硬い表情が印象的でした。
それから12年、ボリショイの看板ダンサー時代を経てオランダ国立バレエに移籍し、研鑽を積んできたスミルノワのジゼルを映画館で観てきました。本当に良かったです。
1幕の最後の迫真の演技は磨きに磨かれていましたし、2幕ではアルブレヒトへの無言の愛(1幕ももちろん無言ですが)が全身から発せられ感動的でした。
アルブレヒトを踊ったヤコポ・ティッシも理想的な王子役ダンサー。客席から大きな拍手をもらっていて、移籍数ヶ月にしてすでに観客に支持されているのがよく分かります。
このふたりでバヤデールも観てみたいと思いました。
オーケストラも劇場つきらしい、ダンサーとの入念なリハーサルぶりが伺えて素晴らしかったです。
演出面では1幕の最後が新鮮な終わり方ですが、考えてみるとこのほうが2幕へスムーズにつながりますね。
先日見たパリオペラ座の白鳥2幕の最後でもそうですが、王子が走って舞台から退場する必要はないのだなあと思いました。
オペラではカルメンやスカルピアが死なない演出もあるくらいですし、時代により少しずつ変わっていくのもまた楽しいですね。