西洋美術館で「スペインのイメージ」展を見てきました。
スペインにまつわる17世紀以降の版画から、主に西欧のスペイン観を探るという企画展です。
なぜ版画?という疑問の答えは、当時それが先端の情報媒体だったから。大量に刷ることができ持ち運びも楽で、情報(イメージ)を広く流通させるのに適した手段だったのですね。
展示品は西洋美術館の所蔵品に国内美術館や個人所蔵のものを加えて構成されていて、パンデミック中の企画進行の厳しい状況が伺える内容でした。
でもビッグネームのラベルに頼らずキュレーターさんの切り口がナラティブをもつ展示会は、新しい発見が期待できるので好きです。
スペイン文学の『ドン・キホーテ』は、その名前を借りた程度のバレエ演目でしか接したことがなかったので、少し触れることができて良かったです。
他にもヨーロッパのスペイン観(”フジヤマ・ゲイシャ”のスペイン版、媒体は部分を拡幅する)、ムスリム統治時代と植民地時代の遺産の存在感、ピカソやダリといったスペイン出身の画匠が描くスペインの魅力など、新しい発見がたくさんありました。
ピカソが描いた闘牛場の風景、その一部。
闘牛場がばりばり現役の娯楽の場であったころ、マタドールが曲芸師を兼ねて受けを狙うこともあったそう。卓越したデッサン力を持つ人がさらさらーっと描いたものは勢いがあって惹かれます。
他にも、ダリがドン・キホーテ物語を題材にした版画が面白かった。動画以上にスピードを感じる版画、いつかまとまった量で見てみたいです。
展示会は9月3日まで。
企画展チケットで常設展を見ることもできます。一日涼しい館内で西洋美術にどっぷり浸かるのもよいアイデアかもしれません。