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織物の文明史

今月読んで面白かった本。

世界各地の歴史上の、人とテキスタイルとの数え切れないストーリーのなかからドラマをすくいとって編まれていて、どこから読んでも楽しめます。

「繊維」「糸」「布」「染色」「交易商」「消費者」「革新者」の各章、それぞれに人間の生活を彩るテキスタイルならではのドラマがあって、20本くらい映画がつくれそう。

ちなみに日本に関しては養蚕技術と贅沢禁止令のことが取り上げられていました。

19世紀にヨーロッパの蚕に謎の病気が蔓延した際、日本の養蚕の手引書やら日本製の蚕卵紙(紙に蚕の卵が産みつけられたものらしい)に救われたこと。

明代の中国と江戸時代の日本、中世のイタリア(という国はまだない時代ですが)それぞれの統治者が定めたドレスコードと、それに対する民衆の姿勢の比較。

どちらの話も興味深かったです。

他に面白かったのは、イギリスの産業革命の芽がイタリアの絹織物産業にあったこととか(産業スパイ!)、未来の繊維が実現できる(はずの)こととか。

織りの技術的な話で理解の難しい部分もあるものの、染織、テキスタイルに興味のある方へお勧めの一冊です。