梅の蕾がかすかに微笑んだ日。
仕事を早めに切り上げて国立劇場へ出かけました。
年末に玉三郎さんの阿古屋を観て、もとの文楽バージョンも機会があれば見てみたいと思っていたのですが、機会はすぐに来ました。(珍しく!)
人が演じるそれよりも、人形の阿古屋から気丈さを感じるのが不思議でした。太夫さんの力でしょうか。
器楽演奏を人形でどこまで表現できるのかとても興味があったのですが、その細やかさが感動的。 観客が息を詰めて見守る中、琴爪をゆっくりと装着し、右手と左手をちらちら目配りしながら、弦を弾いたり押さえたり。
琴から三味線、胡弓と進むうちに引き込まれ、観客が岩永を笑った時に、はっと我に返ったくらい。笑いどころを見逃すのは悔しいものの、字幕の字面から言葉の綾を探ろうと欲が出るし、胡弓の演奏が素敵だったので奏者のほうも気になるし。
なんだかきょろきょろと忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
この日のもう一つの演目は雪責め。降りしきる雪のなか、継母といじめられる姫と庇う女の、切迫した掛け合いを語る太夫さん。本当に一人の人間なのかと思いました。すごかったです。
何かをきっかけに、興味がつながるままに追いかけてゆくのは楽しい遊び。