どの国のニュースもキューバ一色、な週末。
先日観た『ホライズン』はキューバの映画でした。
1920年生まれのアリシア・アロンソの現役時代はもちろん知らないですが、最近のヴィエングセイ・ヴァルデスの端正な踊りは記憶に残っています。
映画の中では苦悩するダンサーっぽく撮られ(切り取られ)過ぎな感じもしますが、確かにカリブ海の孤立した祖国をベースに世界的なバレリーナになるというのは、困難な選択に思えます。
傷んだ床の上でのリハーサルレッスン。
調子の狂ったピアノに合わせて完璧な踊りを見せ、周囲からは拍手さえ起こるのに、もうほとんど視えないアロンソから「情熱が感じられない」とダメ出しされて落胆する場面は、見ているこちらまで苦しくなるほど。
でも彼女にはアロンソの存在が支えになっていて、真摯なヴァルデスの踊りに憧れる次世代のバレリーナもいます。
地平線って線じゃないから永遠に近づくことができないし、目を凝らしても何の答えもない。
それでもひとには地平線のように目安になる人間が必要。
こういうドキュメンタリー映画は、観ながら勝手にあれこれ思いをめぐらせる余白があるので好きです。
今回は恵比寿にある東京都写真美術館内のシアターで観ました。
映画館じゃないので何となくパイプ椅子を覚悟していましたが、普通にきちんとしたシアター環境で観られます。
上映は12月11日まで。16時の回だと帰りには煌めくシャンデリアのおまけもあります!