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カンタと刺子

気持ちのよい秋の、快晴で暑くもなく寒くもない散歩日和。
岩立フォークテキスタイルミュージアム学芸員の方の強力なお勧めで楽しみにしていた、日本民藝館「カンタと刺子」展を見てきました。
企画展スペースの大きな空間に、大判のベンガル地方のカンタ(ベンガル語で”刺繍する”という意味だとか)がたくさん展示されています。
ただ細かいとか綺麗とかではなくて(細かいし綺麗なんですけど)、作っている人の存在がとても近くに感じられることが、カンタの魅力のひとつかもしれません。
複数の刺し手の存在を感じさせる質のムラや、きちんと下図のないままに行き当たりばったりに刺したような微笑ましい動物たち。完成品の精度が決まっていてそれに向かって進んでいるというよりも、刺繍で埋まっていくのが楽しいし、出来上がったら皆に喜んでもらえたらいいなー、みたいな人の笑顔が見えるよう。
同時に展示されている、厳しいテイストの東北の刺子との対比が面白いです。何もかも、違いすぎるほどに違うけれども、技法だけは共通である、不思議。
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ちなみに、作品にはほとんど説明書きがないので、ギフトショップで販売されている『民芸』の9月号と10月号を入手するのがお勧め。コレクターの岩立広子さんと柚木沙弥郎さんの対談「カンタへの思い」の前編と後編がこの2号にわたっていて、そこでわりと詳しく作品の説明がされています。
さてこの日は偶然に、民藝館の西館(旧柳宗悦邸)の公開日。
さっぱりした気持ちのよい家で、私は特に階段をあがってすぐの3畳間が気に入ってしまいました。
もちろんモノが何も置かれていないからなんですけど、多分空間のバランスでしょうか。