展示会のプレスリリース資料からの引用です。
– 子どもの健やかな成長を願い、母親が着物の背中に飾り縫いを施した「背守り」。
背に縫い目のない子どもの着物は背後から魔が忍び込むとされ、昭和の初めころまで魔よけとして付けられていました。 –
これを読んで、「縫い目がないということは一枚布なのだから、切れている生地を縫い合わせたものより丈夫で魔が除けられそうなのに」と思い、疑問を抱えて展示会に出かけました。
考えてみれば当たり前のことなのに、やはり実際に目で見ないと気づかないことがあります。
この風習のあった時代は、衣服の縫い目はどこか遠くの知らない人がミシンでジャーっと縫ったものではないということ。
衣服を縫うという行為自体、多くは家族である縫い手の人の強い気持ちが入るということ。
世界じゅうに存在する豊かな装身具文化の中には、背中を護る美しい飾りももちろんありますし、展示会場には日本の手の込んだ飾り物もたくさんあるのですが、私は、シンプルに糸を通しただけのものに一番、手を入れた人の念と迫力を感じました。
衣服を別の見かたで見られるこの展示会は京橋のLIXILギャラリーで、8月23日土曜日までです。
しかし昔の人っていいもの着てたんだなぁ。。