国立劇場にて、2日間だけの淡路人形座の公演。
文楽の原型、淡路人形芝居はその名のとおり、淡路島を拠点に全国に巡業していた民俗芸能。
500年もの歴史があり、国の重要無形民俗文化財でもあります。
私は生まれてから二十歳過ぎくらいまで、神戸・西宮と徳島のあいだを相当往復したので、淡路島はいつも通り道。
通り道としか思っていなかった場所が、その昔は民俗芸能の発信地だったとは不思議な感じがします。
演目は「戎舞」から。
簡単に言ってしまうと、”えべっさん”が、人の家に上がり込んで、飲んだくれて上機嫌になって、鯛を釣り上げているだけです。
それだけなのですが、不思議なことに、見ているうちにこちらも細かいことなどどうでも良くなってくる、リラックス効果抜群の演目。
続く演目は「絵本太功記」尼ヶ崎の段。
人形が文楽のそれよりもかなり大きく、ほとんど等身大くらいあるので、動きは迫力があります。
3人がかりの人形が、歌舞伎のように見得を切っているのを見ると、人間がやったほうが早いんじゃないかとふと思ってしまいますが、大きな人形ならではのコミカルな味が民俗芸能の醍醐味なのかもしれません。
貴重な、楽しい観劇でした。
しかしライブで聞く拍子木の音って何であんなにわくわくするんでしょう。
擦り込まれた何かなのでしょうね。