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蝶々夫人

新国立劇場の今シーズン最後のオペラ演目、『蝶々夫人』の楽日です。
シンプルで絵画的、照明効果が洗練された舞台美術。
過不足のないキャストの描写、日本人の附に落ちる、仮装っぽさのない衣装。
その上でキャストがそれぞれのキャラクターの役目を果たす、とてもバランスのきれいな舞台でした。
オペラは総合芸術です、とよく言われることに素直に納得できます。
演出で珍しかった部分がひとつ。
最後、父の形見の短剣で自死した蝶々夫人のもとへ、坊やがやってきて母の亡骸を見つめ、幕が下ります。
「続・蝶々夫人」でもありそうな最後。
続編はケイトを主役でどうでしょうか。成長した坊やと、母の形見の短剣との関係はいかに。。。
カーテンコールではタイトルロールのオルガ・グリャコヴァへ大きな拍手が。
後で知りましたが彼女は代役だったのですね。代役を務めてくれたアーティストへ特別な拍手が贈られます。
明日からお座敷に出られそうなくらい、よく研究された役作りへの賞賛と、「来てくれた」ことへの感謝のこもった拍手。
拍手って不思議。両手を打ち合わせているだけなのに、気持ちがきちんと伝わります。
一瞬顔をゆがませた後、「ありがとう」と声に出して応えた様子は少し感動的でした。
今回は3回目を迎えられた銀座もとじさん「きものでオペラ」へのお誘いでした。
雨の時期の空気をさわやかに変える季節感と、蝶にちなんだ遊び心あるコーディネートがたくさん。
他の観客の方々が思わずふり返るのも分かるような、清々しく華やかなお集まりでした。