サブタイトルでルネサンスからバロックまで、となっていますが、どちらかというとバロックの印象のほうが強く残った美術展でした。
ナポリの街を見渡す山(モンテ)の(ディ)てっぺん(カポ)にある美術館。そもそも美術品を収蔵するために作られた旧宮殿だそうです。
美術館の建造物そのものをもう少し見られると思って出掛けたのですが、わりと淡々と収蔵品を見せる構成でした。
印象に残った1枚を挙げるとすれば、アルテミジア・ジェンティレスキの「ユーディットとホロフェルネス」。
彼女はその生涯が「アルテミシア」というタイトルの映画にもなっている、17世紀の画家です。
この絵で描かれている女性の顔、展示されている他の(男性による)絵では見られない表現です。リアルな、素の女の顔なのです。
ちょっといまいましげにしかめた顔に、美化された苦悩の表情はなく、あるのはうんと力を込めるときの表情のみ。
”目下、全力で処理中です”という顔なのがおもしろい。
さて、我が家では明暗はっきりとコントラストがはっきりとしていることを示す形容詞となっている「カラバッジォ」。
そのカラバッジォも含めて人の表情がけっこう俗っぽく、劇画調なバロック絵画。
帰宅後いろいろ調べてみましたら、バロックそのものが、宗教(というか教会)のトレンドに影響された様式だったそうです。
上野の西洋美術館、濃い緑に白い芙蓉の花がとても綺麗でした。