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怒りの葡萄

サンフランシスコへの旅に備えてまとめて買ったスタインベック、この長編だけそのままになっていたのを読み終えました。
読み始めてしばらくは、その世界へどうしても入っていけなくて、もう少し寝かせておこうかと思いましたが、しばらく読み進むと私もおんぼろトラックに乗って新大陸の未開の地へ。
普段触れることのない、たぶんその存在すら忘れている人間の根っこの部分を剥き出しに、でも淡々と物語は進みます。
最後のシーンはこの物語すべての象徴になっていて、このくだりのために、それまでの何百ページがあったようにも思え、ふと気が遠くなります。
小説は何も解決させず唐突に終わりますが、それは人の紡ぐ物語に「結末」などない、というメッセージ。
しかしまあ人間にこんなものが書けるのですね。圧倒的。久しぶりの感触。
女って・・・?と煮詰まった人がいたら勧めたい。その人生は区切りのない川で、何があってもしなやかに流れ続けるように出来ているようです。