東京国立博物館にて。
カルティエは、特にアールデコのスタイルが好きで、日本のカルティエ展は前回の京都・醍醐寺の展示会も、その前の庭園美術館の展示会も、訪れました。
醍醐寺での展示会は、お寺で宝飾品を見るという珍しいシチュエーションもさることながら、エットレ・ソットサス監修による、神秘的な演出が印象的でした。
暗い空間にひとつひとつのショウケースがぼうっと浮かんで、ドキドキしたのを思い出します。
そして特に美しいシガレットケースの数々は、それが使われる豊かな生活シーンを想像させ、しばらくうっとりしていました。
このシガレットケースを持ち歩くためなら、喫煙もやむを得ない・・・と勝手に考えたほど。
今回は、特に20世紀初頭、世界大戦前の時代のダイヤモンドジュエリーの中に、素晴らしいものがあります。
素材とデザイン、技術が一体となっていて、完璧な調和があり、そこに咲く花、そこに流れる川、そこに輝く太陽、と同じくらい、存在が自然なのです。 燦然ときらめくジュエリーを前にして、その存在が自然に思えるという、不思議な感覚が得られます。
あの幾つかの作品を見るためにもう一度訪れても良いくらいです。
それにしても、素材とデザインと技術をひとつにするのは、やはりデザイン。ひとりの人間の意志です。