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あてなるもの

plum.jpg「ATENARI」の意味をよく聞かれます。
平安時代には使われていた古語で、「貴なり」と書きます。
現代ではその字面から、何となく遠い世界のノーブルな雰囲気が漂いませんか?
ですがこの言葉の元々のニュアンスは少し軽やかでしなやかなもの。
分かりやすい例として、『枕草子』があります。
あてなるもの
薄色に白襲の汗衫。
かりのこ。
削り氷にあまづら入れて 新しき金まりに入れたる。
水晶の数珠。
藤の花。
梅の花に雪の降りかかりたる。
いみじううつくしきちごの、いちごなど食ひたる。

とこんな感じで、「あてなり」は、ふと目が留まったときに感性に触れる、ちょっとワクワクするような様子をいいます。
写真は、雪の少ない2009年の東京で「梅の花に春雨の降りかかりたる」。
雨のしずくが水晶玉のように梅の花に散りばめられた、2月のあてなる風景でした。