ずいぶん前から楽しみにしていた蒔絵展。
会期終了間際にやっと時間を作ることが出来たので見に行きました。
展示品の数はたくさんありましたが、感動したのはマリア・テレジアからマリー・アントワネットへ相続された小品の数々。
最後の仕上げとしての蒔絵よりも、そのベースになる木地の造形にうっとりします。
一瞬にして他のものを打ちのめす「洗練」は、いつも静かで強いもの。
どこをとっても薄く、軽く、その隙のない姿に指物職人の技とこだわりを感じます。
展示会場の説明によると、マリア・テレジアは蒔絵の小品を多く収集し、「私はダイヤより蒔絵よ」と言っていたとか。
多くは元々、香の道具として作られたものでしたが、ヨーロッパでは何か他の用途に使われたのかどうか。
いずれにしても、高貴な女性の手の中で愛でられるために生まれたような、あてなる品々でした。